傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン

『傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン』とは磯見仁月による日本の女性漫画作品。『月刊コミックバンチ』にて連載されている。
18世紀、フランス革命前夜。王妃マリー・アントワネットの寵愛を受け、革命の波にのまれていった、「ファッションデザイナーの祖」と称される人物の物語。
舞台は18世紀フランス。片田舎でお針子を営む主人公のマリー・ジャンヌ・ベルタン(後のローズ・ベルタン)はフランスで一番の仕立て屋になるためパリへと向かう。
パリでは様々な課題や壁を自分の知識と経験、仲間の助けで乗り越え、自分の店を持つようになったベルタン。彼女はベルサイユで働く髪結いレオナールの依頼を受け、復刊するファッション誌『婦人の雑誌(ジュルナル・デ・ダム)』の看板となる新たなファッションの創出へ動き出す。そして社交界での婦人用の髪型を考案することにより、王妃マリー・アントワネットにもその名を知られることとなる。
本編では、主人公ベルタンの他にも作品の主要人物であるマリー・アントワネット視点の物語もある。そこでは王妃としての立ち振る舞いだけでなく、夫であるルイ16世とのすれ違い、母国であるオーストリアとフランスとの価値観の相違など、誰もが羨む華やかな生活とは裏腹に彼女の苦悩も描かれている。

mathew138のレビュー・評価・感想

傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン
10

庶民からみたフランス革命

マリー・アントワネットのお抱えデザイナーだったローズ・ベルタンの物語です。
無名だった田舎のお針子から、王妃のデザイナーまで上り詰める物語ですが、貴族ではなく一般市民からみた当時のフランスの様子が鮮やかに描かれています。
当時の風俗・ことわざなども端々にちりばめられていて、よくここまで調べたなという印象です。

フランス革命の漫画というと『ベルサイユのばら』が真っ先に思い浮かびますが、違う目線で描かれており、『ベルサイユのばら』では描き切れなかった部分が描かれている印象です。
『ベルサイユのばら』では、マリー・アントワネット目線で描かれていたため、ルイ15世の愛妾デュ・バリュー夫人が悪い印象を与えますが、こちらの作品ではマリー・アントワネットとデュ・バリュー夫人が公平に描かれていて、賢く美しい二人の魅力が詰まっています。フランス革命の時代が好きという人はとても楽しく読める作品です。

そして、この作品の魅力の一つは主人公がデザイナーである故に出てくるたくさんのドレスです。こちらもかなり時代考証がしっかりしていて、美しく描かれています。様々な難問に直面しながら、ベルタンがどのようなドレスをデザインするのか楽しみながら読めます。当時のファッションの流行、庶民の服装などもたくさん登場します。