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私たちの秘密とは
この映画は単に、「『エニグマ』という暗号機を解き、ドイツ軍の策略を欺く」、というサスペンス・ミステリーの話だけではなく、人と人との『秘密』を解き明かしていくドラマでもあり、第二次世界大戦時のヨーロッパ情勢を描く歴史モノでもある。
タイトルの『イミテーションゲーム』とは、コンピューターの思考能力を評価するために行なわれるゲームのことであり、コンピューターと人間に同じ質問をして、それぞれがどちらの回答であるかを隠し、それを第三者に提示、どちらがコンピューターの回答であるかを判定させるというものである。
映画でもこの描写がある。
「教えて欲しい、私は犯罪者か、それとも英雄か」
天才数学者の『アラン・チューニング』は苦悩する。
「それって話す時とどう違うの?本当の意味ではなく、別の言い方をする。でも、相手は理解するよね、僕はそうじゃないけど」
幼き日のアランは言う。
人間をどこかで煩わしく思い、ひた隠しにしてきた感情。
その真理を問う場面。
その秘密は、エニグマとの対峙によって徐々に解かれ、そして明かされていく。
最後は切なくて、でも胸が熱くなる物語。