音の組み合わせが秀逸
米津玄師さんがネット上でハチという名前で作った曲、『マトリョシカ』が好きです。機械音や、今では当たり前のジャンルとなりつつあるボーカロイドや機械音声と音楽の組み合わせ方が上手くて、最初は歌詞が分からなくても、つい気になって聴いてしまいます。すぐに他の人たちがこれを真似てマンガやアニメとのパロディで曲を作り始めたので、楽曲の広め方も上手なのだと思います。
「“クセになる”というのを何か形で表すとするなら『マトリョシカ』だね」と言っても過言ではないと思います。こってり味のラーメンなのに何杯でも食べられるような感覚に似ていると思います。
同じく「音と音楽の組み合わせと広め方が上手だな」と思ったのが『Lemon』でした。音も歌詞も繊細かつ情熱的な美しい曲なのに「えっ、なんでこんな音を入れるの??」と思う音が途中で入ってきます。これが仕掛けなのは分かっているので、曲を好きになってしまうと「掌で踊らされているなぁ」と悔しくなってしまいます。
ハチでもある米津玄師さんが作る音楽の特徴だと思うのですが、“初めて聴いた時には「音楽に合ってる」と思えない音”が入ります。その違和感の正体が気になって音楽を拾います。何度か聴くとその正体が分かるようになっていて、謎解き問題を解いたような達成感があります。ハチや米津玄師さんの音楽の魅力はココにあると思います。