余命宣告された彼との余生
井上真央さんが主人公の『種田繭』役をつとめ、相手役の『逞』役を、まだ駆け出しの岡田将生さんが演じています。このレビューは映画についてですが、原作の『僕の初恋を君に捧ぐ』は、少女漫画として大ヒットした青木琴美先生の作品です。逞は幼い頃から心臓の病をもち、入退院を繰り返していました。主治医の娘である繭は、そんな逞と一緒に過ごしていました。20歳になったら結婚しよう、と約束します。中学生になり、思春期を迎え、お互いを男女として意識するようになります。でも逞は、繭と別の高校を受験し別々の人生を歩もうとします。逞は繭のことが好きで、繭も逞のことが好きなのですが、自分の命が長くないことを悟った逞は、繭が手に届かないような難関校に合格します。しかし、実は繭も猛勉強をして逞と同じ高校に合格していました。2人はギクシャクしながらも、逞の心臓移植が見つかるまで共に高校生活を送ります。逞は、走ることもできません。体に負担がかかるからです。そんな時、学校の人気者『鈴谷昴』が繭に一目惚れ。逞の体のことも知っているし、2人の関係も分かっているのですが、昴は繭にアタックします。繭を取り返す為に、逞は50メートル走で昴と競争します。このシーンは、命がけの逞が痛いくらいに輝いて、涙が溢れました。仲良くなった昴と逞でしたが、昴が事故に遭い意識不明の状態になります。この昴が、実は心臓移植のドナーカードを持っていて、移植先が逞に決まります。しかし喜んだのも束の間、逞は自分の心臓が昴のものであると知ります。昴は移植されると亡くなってしまいます。逞は、大事な友達の人生を優先し、移植を拒否してしまいました。この結末はとても悲しくて、繭が亡くなってしまった逞を思い号泣するシーンは本当に悲しかったです。改めてこの作品の重さが伝わってきたシーンでした。