想像の限界を超える!
「心と感情が切り離された」。そう思った。
考察も推理も、何も要らない。なぜなら想像するだけ無駄なのだから。それが『チェンソーマン』という作品を愛す理由。
それは想像だけで臨死体験の様な気持ちを味わえるから。
まず私は、自分のことを「反芻思考の強い残念な性格にして、社会的にも“ただの肉体労働者”としか見られない程度の底辺な存在」と思っていて、大人になればなる程『ジャンプ』が嫌いになった。
「友情?クソだ。ジャンプは子供か勝ち組の大人が読めばいい」。私は29歳にしてここまで捻くれていた。
職場の後輩がTSUTAYA書店で買った『チェンソーマン』。それが私とこの作品との出会いだった。
私もなぜか読んだ。気付いたら7巻まで一気に買って読んでいた。読んだ感想は…。
「私は何を読んだんだ?あれ?」「友情?愛情?熱血?」「私が想像してたジャンプとは?」
頭がめちゃくちゃになった。
でも、ひとつだけわかった。この作品は愛に溢れたサイコパスだと。
心と感情を切り離す。泣きながら笑いつつ、殴りながら愛を歌うような、感情の支離滅裂さ。
あまりに意味不明過ぎた作品だったので、前作『ファイアパンチ』も全巻買って読んだ。
ーーうん。やっぱりイカれてる。
『ジャンプ』で、あの『ジャンプ』で、ですよ。
『ジャンプ』はここまで変化を求めていたのか。
そして、読者がここまでの変化を求めていた事に最高の拍手をしたい。
サイコパスは、芸術的なのかもしれない。そう思う作品。