お決まりの「お約束」がないストーリー
本作は、人間の内なる恐怖が具現化した「悪魔」と、それらに対峙する「デビルハンター」を描いたストーリーである。当初、デビルハンター側は「銃の悪魔」を倒すことを目標とし、戦闘を繰り広げていく。主人公であり、悪魔を心臓に宿すことで悪魔人間となったデンジもその目標に向かう1人。とはいっても、デンジは上司であるマキマとやましいことをすることが真の目的であったりする。ここら辺はすごくジャンプあるあるの男性主人公という感じ。
本作が他作品と大きく異なる点は、ご都合主義的な展開が見当たらない点である。例えば、「主人公の親友はどんなにピンチな局面でも絶対に死なない」という信頼感であったり、「突如でできた敵キャラは、ある程度見せ場を作るまで殺されない」という謎の安心感、などはこの作品にはまるでない。親友であっても、いい感じの上司であっても、「これからちょこちょこでてくるんだろうな〜」というキャラであっても、この作品ではポンポンと退場させられてしまう。
しかし、どの登場人物の死にも、必ず物語の流れがあり、意味のない死を遂げる者も、またいないのである。
話のテンポが早く、なおかつ今までのお約束の展開がことごとくない本作は、読者を飽きさせることがない。
また、人間の恐怖が具現化した悪魔たちは、私たちに確実に迫り来る恐怖を与える。どれもシンプルなイラストながらも、その画力も、魅力の一つと言えるだろう。