6
念願の我が家に一歩足を踏み入れると…。
アメリカにて2011年に公開されたサイコスリラー映画です。ダニエル=クレイグ演じるウィル=エイテンテンは、敏腕編集者を早期退職し、郊外に念願のマイホームを購入します。愛する妻リビー=エイテンテン(レイチェル=ワイズ)と、可愛い娘2人と共に、家族水入らずの穏やかな時間を過ごすはずが、購入したマイホームで次々に不可解な出来事が起こります。どこかよそよそしい隣人たち、深夜に繰り広げられる怪しい集会など、枚挙に暇がない程に恐ろしい出来事が重なり、物語前半部分で描かれる美しい風景描写や家族との温かな会話、明るい未来への展望はどこへやら、一気にサイコスリラー映画へと様変わりしてしまいます。主人公を演じるダニエル=クレイグが、「ドリームハウス」に隠された秘密を解き明かすにつれ、柔和な表情から笑顔の無い、緊張した面持ちへと切り替わる演技がとても素晴らしいです。また、劇中に何度か、反射する鏡や窓の描写が織り交ぜられており、「現実」と「幻覚」の境が意図的に分かりにくくなっております。こうした描写が連続し、登場人物たちの瞳を通した世界が「現実」となり展開が複雑になることで、単純なサイコスリラー映画とは一線を画していると言えます。謎が謎を呼ぶ中、主人公たち家族は「ドリームハウス」とどう向き合うのでしょう。意外な結末に驚くこと間違いなしです。