緻密に練り上げられた至高のストーリー
連載初期の画力は正直に言って高い方ではありませんでしたが、単行本の10巻を超えたあたりから向上しているように感じます。画力そのものではなく、構図の見せ方が上手い作者です。
特に大コマでの迫力は素晴らしく、息を呑むような場面が多くあります。
しかし、なんと言ってもこの作品の一番の面白い点・引き込まれる点は、緻密に練り上げられたストーリーであると思います。主人公たちが敵対する巨人の謎を解き明かすところからストーリーが始まりますが、徐々に明らかになっていく衝撃の事実と、至る所に散りばめられた伏線を見事に回収していくストーリーに引き込まれ、読み進めずにはいられませんでした。
多くのキャラクターが命を落とす描写があり、衝撃的な事実を突きつけられる場面が多いこの作品ですが、実は登場人物たちの丁寧な心理描写があることも大きな特徴です。
死地に赴く兵士の悲壮な表情や、裏切りを決意したキャラの表情など、とても繊細に描かれています。ストーリーを一通り読んだ後でその場面を読み返すと、こういうことだったのかーと思わず唸ってしまう場面が多々ありました。様々な勢力の思惑が交差するため、複雑なストーリーではありますが、じっくりとその世界観に浸ってみてはいかがでしょうか。