青野くんに触りたいから死にたい

青野くんに触りたいから死にたい

『青野くんに触りたいから死にたい』とは、『月刊アフタヌーン』にて2017年2月号から2025年12月号まで連載された椎名うみによる青年漫画、およびそれを原作とするテレビドラマである。本作は作者の連載デビュー作である。人間と幽霊の恋物語であり、2人の関係性がユーモアと狂気の描写を織り交ぜながら描かれている。連載開始後、第1話がウェブ上で公開されると、その独特な恋愛模様がインターネットを中心に大きな話題を呼んだ。2022年3月には佐藤勝利主演でテレビドラマ化され、WOWOWにて放送・配信された。
女子高校生の刈谷優里(かりや ゆうり)は、隣のクラスの青野龍平(あおの りゅうへい)に告白して交際を始めるが、わずか2週間後に青野は交通事故で急逝してしまう。絶望した優里が後追い自殺を図ろうとした際、幽霊となった青野が現れて制止し、2人の奇妙な共同生活が始まる。しかし、優里の提案で青野が憑依を試みたことをきっかけに、青野の中に狂暴な別の人格である「黒青野」が発現し、周囲の人間を巻き込む異常現象を引き起こし始める。
優里は、青野の友人である藤本雅芳(ふじもと まさよし)や、クラスメイトの堀江美桜(ほりえ みお)と共に青野の存在や怪異の謎について調べ始める。黒青野の増大する力や優里を異界へ連れ去ろうとする脅威に立ち向かい、優里はその力を弱めることに成功するが、物語はさらなる謎へと向かう。夏休み、優里と藤本がアルバイト先で知った「寿命の一部を霊に捧げて願いを叶えるおまじない」を発端に、美桜は、優里自身も知らず知らずのうちに青野へ命を捧げているのではないかという仮説を立て、不条理な恐怖と切ない愛のドラマが展開していく。

go-1124325139861337903821のレビュー・評価・感想

青野くんに触りたいから死にたい
8

好きでいるほどに傷つく二人

この漫画をジャンル分けするのは難しい。高校生のラブストーリーであり、ゾッと震えるホラーであり、いくつもの謎が絡み合ったサスペンスのようでもある。
刈野優里は身近に一人はいそうな女の子。クラスメイトに名前も覚えてもらえてないし、友達らしい友達もいないから体育で二人組を作ると余ってしまう。そんな子が、想いを寄せる『青野くん』に勇気を振り絞って告白したら何とOK。幸せいっぱい、これから二人のラブストーリーが始まる……かと思いきや、付き合い始めてたったの二週間で青野くんは帰らぬ人となってしまう。
しかし物語はここからが本番。なんと幽霊になって帰ってきた青野くん。幽霊でも一緒にいられるだけで嬉しい、そう喜ぶ優里だが、彼は時々人が変わったようにとある要求を始める。

独特な絵柄に苦手意識を持つ人もいるかもしれないが、この絵だからこそ不気味で気持ち悪い空気、溢れる涙や堪える唇といった表情の機微、ちょっとシュールな笑いの場面、全てが豊かに感じられる。
優しい青野くんが一転して恐怖の対象になってしまう、その切り替わりに優里も読者も翻弄される。
初々しくいちゃついた次の瞬間にはクラスメイトが平然と青野くんの身体をすり抜け、「あぁ彼は幽霊だった」と現実を突きつけられる。そんなシーンに何度も寂しさを感じる。

幽霊の自分をコントロール出来ない青野くんと、それでも彼を好きでいつづける優里。
大切にしたいのに傷つけてしまう。守りたいのに危険に晒してしまう。
お互いに想い合い一緒にいたいと願うほど、罪悪感も募ってしまう。
けれどもこれは決して苦しみの物語ではないと思える。そんな中でも二人は確かに幸せを感じているし、放棄せずに道を探している。それに協力しようとする人も現れる。

『青野くん』は何が目的なのか?二人はどうなってしまうのか?
青野くんと優里、そしてそれを取り巻く人々が見つける道を一緒に見てみたいと思える作品。