探偵物語としては珍しい
ある日、父親を亡くした女子高生・桂木弥子のもとに、ネウロと名乗る不思議な青年が現れる。
彼の正体は魔界からやってきた魔人であり、謎を主食として生きてきたのだが、魔界の謎を食べ尽くしてしまったため弥子の住む人間界へやってきた。彼の目的は、どこかにあるという究極の謎を食べる事であった。
ネウロはその目的のために弥子と共に探偵業務を開始し、事務所へやってくる様々な依頼をこなしていくという物語。
二人とも食べることが大好きで、食にたいしての執着心や欲望は人一倍。
そんな二人が事件を通し、問題を解決していきながら相棒として絆を深めていく。
話の中では様々な事件の犯人が出てくるが、そのキャラクターも個性豊かな人物ばかり。
世界的な歌姫、自分の信念のためには同僚をも排除するシェフ、脳の研究をしていたが愛する恋人を失った悲しみから世界を支配する電子ドラッグを作ってしまった科学者、そして自分の細胞を変異させ誰にでも変身することのできる大怪盗など、各々のエピソードがとても個性的。また、ネウロと弥子がその事件に対しどのように向き合い、解決していくのか。それによる二人の成長と関係性の変化は見ごたえ十分。
物語の後半は、人類の滅亡を目論む「新しい血族」シックスと、謎を生み出す人間を守ろうとするネウロとの戦いが主なテーマ。
前半の探偵物語とはまた雰囲気が変わって、後半は主にネウロとシックスの手下たちとのバトルが中心となる。
弥子は今までの探偵業で得た知識と経験をもとにネウロを支えていく頼もしい相棒となり、さて血族との戦いの行く末は…というところでクライマックス。
食をテーマとした探偵物としては珍しい作品であり、個性豊かなキャラクターと予想のつかない怒涛の展開が大変面白い作品。ぜひ一度手に取ってほしい。