作詞・作曲・歌唱、どれも高水準。
この歌手のメインと言うべきところは、作詞・作曲の能力です。歌詞・メロディは本人の醸成する暗い世界観、本人が小さい頃に感じた生きづらさの現れであり、要するにこの歌手の歌詞は「陰キャ」文化の1つとも言えるでしょう。それだけではなく、偶にですが教養のあるところを歌詞で表現しますし、本気でおバカになって腹芸ができる人でもあります。また、商業的センスも高く、「どんな内容の歌を書いて作ればセールスに繋がるか」というものを熟知しています。というより、2010年代の大手の歌い手は商売下手がほとんどいません。その辺は時代背景とも無関係ではありません。
とはいえ歌唱力に全く特筆点がない訳ではなく、広い声域はこの歌手ならではのウリです。本人が声帯の専門科を受診して調べてもらったところ、女性と同様の声帯であったことが発覚したそうです。この声帯から編み出される歌声にコロッとやられるファンも少なくありません。悪く言えばキンキンと響く高音ですが、本人はファンが聴きやすいように動画版では適宜音声を加工しているとのことです。といっても、本来の歌声を損なわない範囲での加工であり、曲自体も別段「音声加工の産物」という程中身の無いものではありません。