映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ

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映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ
10

のほほんからどたばたへ

隅っこが落ち着くちょっとネガティブなマスコット達がほのぼのと暮らしている「すみっコぐらし」の映画化作品。当初は「キャラクタ商売で手抜きなものを作るんじゃないか」とか「下手くそな役者を起用して世界観崩壊させるんじゃないか」とか、すごく不安でした。実際には喋るのはナレーションのみ、世界観を損なわない程度だったのでとても好感が持てましたし、なによりもすみっコ達に声をあてなかったスタッフたちが空気読んでいたなと感激しました。

「ひょんな事から妙な世界に迷い込んで元の世界へ帰る」という子供向けの分かりやすいストーリーでしたが、本作オリジナルキャラ「ひよこ?」の正体に一ひねりを加えた脚本に拍手。道中、昔話の扮装で笑いを誘っていたのに……。特にしろくまの妄想がグレードアップ(?)したり、鬼に追われて必死で逃げるねこや呪文を間違えるぺんぎん?、食べてほしいと迫るとんかつ、パリピなにせつむりを豪快に助けるとかげ、とそれぞれ見せ場もあるので是非見てほしいです。

「『みにくいアヒルの子』なのか!?→ちがーう!!!」の流れも良かったです。でも、その後「誰かが絵本に描いた落書き」という設定のため、曲がりなりにも絵本の住人であり、すみっコと一緒に帰れない展開には悲しみがありました。しかしご都合主義でなく敢えてその流れを貫くことにより、ただの子供向けにせず大人でも楽しめるストーリーになっていて私は胸打たれました。EDでは皆で絵本に自分モチーフのひよこを描いて「ひよこ?」と一緒に遊ぶシーンがあるので、全くの救いがない展開じゃない辺りはほっとしました。