少女漫画史上初の巨大ロボ出現漫画だけでも一読の価値あり!
1990年代、雑誌『なかよし』にて連載されていた作品で2部構成。著者はCLAMPというグループ作家で画力は高い、ストーリーもRPGさながらの展開…と思ったら、第1部は大どんでん返しで明かされた真相に当時の読者はヒロインたち同様、メンタルを抉られるような心境でした。
物語は異世界「セフィーロ」にヒロイン3人が召喚されるところから始まる。召喚したのは姫と呼ばれる人物で、彼女は反乱を起こした神官の虜となっていた。
「神官を倒して姫を助ける!!」といういかにもな展開かと思ったら真相は全く異なり、その姫は「自分を殺してもらうために(ヒロインたちを)召喚した」ことが明らかとなる。姫とは「世界の安寧を祈り続ける」ことを課せられた存在で、この祈りが失われるとセフィーロは崩壊してしまう。退位することもできないため、死ぬまでただセフィーロのために祈り続けなければならないのだが、当代の姫は神官の男を愛してしまった。だからこそ彼女は自分を殺してもらうためにヒロインたちを召喚し、神官は愛する姫を守るために悪役を演じていたのだった。セフィーロのシステムがいかにいびつで残酷なものであるかを読者たちは知ることとなった。
ヒロイン3人その重すぎる使命を涙を流しながら成し遂げて、元の世界へ帰るもあまりにも重く悲しい出来事に泣き崩れて第1部は終了した…と書くと、救いもへったくれもないが続編でそのいびつを解決するのでご安心を。
ここからは余談となるがアニメ版と漫画版では物語の展開や登場人物の末路が一部異なるので比較する楽しみがある。キャスト面では少年役が多いことで知られる緒方恵美氏が姫役を務めることとなり、同氏の起用に事務所のスタッフも驚きを隠せなかった一方、実際の演技が絶妙で“緒方恵美が演じている”ことに気付かない人も多かったという逸話は有名。また登場人物・地名などが車の名前である事(物語の舞台となる異世界「セフィーロ」は実際に日産で作られた車種)、少女漫画では初めて巨大ロボットが登場することで話題にあがっている。