聲の形 / A Silent Voice

『聲の形』とは、2013年36号・37号合併号から2014年51号まで『週刊少年マガジン』(講談社)で掲載された、大今良時による少年漫画である。オリジナルは2011年2月号『別冊少年マガジン』に掲載され、リメイク版が2013年12号『週刊少年マガジン』に掲載された。コミックスは全7巻が刊行され、累計発行部数は2016年時点で300万部を超えた。
物語は主人公の石田将也(いしだまさや)が小学生の頃、聴覚障害者である西宮硝子(にしみやしょうこ)をいじめてから孤立し、高校生になって自殺を考えるまでに至った経緯が描かれる。硝子と将也の触れ合いを中心に孤独や絶望、愛情や友情を表現している。
舞台となる地は架空となっているが、作者の出身地である岐阜県大垣市がモデルである。
本作品は2014年に「コミックナタリー大賞」で第1位を獲得した。2015年には「このマンガがすごい!」でオトコ編で第1位を獲得し、「マンガ大賞2015」では第3位を獲得した。また「第19回手塚治虫文化賞」では新生賞を受賞した。劇場版アニメは2016年9月17日に公開された。
海外版も発行され、欧米圏では題名が『A Silent Voice』となっている。その他の国は母国語の題名で、東南アジアや韓国、台湾でも発行された。

fb-21728620462958050のレビュー・評価・感想

聲の形 / A Silent Voice
9

聴覚障害を持つヒロインと、彼女に関わる若者たちのこえのかたち。

漫画原作の聲の形をアニメ映画で見ました。

印象に残るのは、十人十色のキャラクターたちです。
こういったフィクションでは、キャラクターに長所と欠点があるものの欠点も魅力の一つ、とわかりやすくデフォルメされていることが多いのですが、若者も大人も登場人物の持つ欠点はいさかいの元となり、クローズアップされているため「これを見た多くの人はきっと登場人物の誰かを嫌いになる」と感じました。

硝子をいじめてしまったこと、それから自身がいじめられるようになったこと、硝子の補聴器をたくさん紛失・破壊してしまったことから、生活が裕福でない母に金銭的負担を大きくかけ続けてしまったこと、硝子に一度も謝罪できていないことで苦しみ、それらを償おうとバイトをし手話を学ぶ将也の姿は、「元いじめっ子の多くは罪の意識を持たず、忘れたり正当化したまま大人になる」という悪いイメージを持っていた私には衝撃的でした。

いじめを隠蔽したり、過剰に庇う行為、そしていじめという名で彼らの傷害や窃盗という犯罪行為の罪をなあなあにしてしまうことは、被害者はもちろん加害者であるいじめっ子にも更生や償いのチャンスを奪う行為に繋がるように思えます。

障害や人間の暗い部分を美化せずに描かれるこの作品を見るのに、大きな痛みを伴いましたが大切な痛みであると感じています。
将也と硝子、二人のキャラクターが物語の後も、互いが生きるのを手伝い幸せになれることを願います。