ギルバート・グレイプ / What's Eating Gilbert Grape

ギルバート・グレイプ / What's Eating Gilbert Grape

『ギルバート・グレイプ』とは、原題は『What’s Eating Gilbert Grape』で、同名小説の映画化。ジョニー・デップと、レオナルド・ディカプリオが共演している、1993年のアメリカ映画である。
知的障害を抱えた弟アーニー(レオナルド・ディカプリオ)と、夫を亡くした事で過食症となり、病的な肥満になってしまった母親。
退屈な田舎町で家族を支えるギルバート(ジョニー・デップ)が、ある日ベッキーという女性と出会うことで自分自身を見つめ直し、心の揺れ動きと成長を描いた物語。

georgia08314のレビュー・評価・感想

ギルバート・グレイプ / What's Eating Gilbert Grape
9

素敵な映画

閉塞感が漂う寂れた田舎町。
そんな場所で自らが望むものを考える余裕もない程に、家族というしがらみに囚われながら生きるギルバート。
そのような生活を送る中で、ベッキーという女性に出会い、彼の心の中には今まで体験したことのなかったような新たな風が吹く。しかし、知的障害がある弟や過食症の母親を置いて、どこかに一人で行くことなんてできやしない。そんなギルバートの内なる葛藤からか、家族の間にもぎくしゃくした雰囲気が漂う。それでも、グレイプ一家はお互いへの愛情を決して見失わなかった。これは素晴らしいことだと感じた。
母親が静かに息を引き取るシーンからは、家族の重荷であった自分から子供たちを解放させてあげたいという最後の願いを感じてしまって、涙した。その際に、もう二度と息を吹き返すことがない母親に声をかけるレオナルド・ディカプリオの演技は、本当に凄まじい。そして、母親を決して恥にはさせないとギルバートは家に火をつける。子供たちは、どのような思いで我が家が炎に包まれる姿を見つめていたのだろうかと考えずにはいられない。

ラストはハッピーエンドで本当に良かった。救われた。いつも真っ直ぐで手がかかるアーニーとともに暮らしていくのは決して容易いことではないけれど、ギルバートとなら絶対大丈夫だろうなという安心感を与えてくれた。

比較的淡々と物語が進んでいく本作だが、じわじわと心に届くものがあり、良かった。

心優しくてベリーショートがとても似合う、ジュリエット・ルイス演じるベッキーが本当に綺麗で可愛らしくて大好き。