ハガレン
エドとアルの兄弟二人が、自分たちの身体を取り戻すための旅から物語がスタートしていきます。兄のエドは右腕と左足が義足、弟のアルは中身のない空っぽの鎧。死んだ母を蘇らせるために、錬金術の禁忌である人体錬成をしたものの失敗に終わり、その代償を受けた(等価交換)のがこの姿です。身体を取り戻すためには人体錬成を成功させる必要があり、“成功するには賢者の石というものが必要だ”という情報を政府の軍からもらい、その石を探すこととなります。しかし、その石の原材料は人間だということを知り、二人は苦悩します。その賢者の石から造られたホムンクルスという生物に会い、その親玉が自分の父親から派生して造られていて、また、父親も賢者の石で造られていることを知ります。さらに、物語の中盤になると、エドたちの国がホムンクルスと軍によって造られていることから、今まで自分たちの味方だと思っていた軍にもホムンクルスの仲間がいることまで突き留めて、人間vsホムンクルスの生き残りをかけた全面戦争が始まります。この作品は兄弟愛、家族愛、仲間、可能性の選択、人間の誰もが持っている醜い感情など、現実では可視できないものが作品の中に上手く具現化されていて、自分にとって本当に大切なものは何なのかを考えさせてくれる内容になっています。また、単行本が27巻までとちょうどよく、終わり方も全部が全部ハッピーエンドではないところに魅力が感じられます。