監獄は真摯
「丁寧に作られている」というのがこの作品を読んで感じた印象です。
話の大筋としては、フォワードの育ちにくい日本サッカー界に、メッシやクリロナのような強烈なエゴを持った英雄(ストライカー)を作りあげるため、高校生フォワードを青い監獄(ブルーロック)に集め、蹴落とし合いを行わせるというもの。
サッカーの戦術や技術というよりは、選手の能力的な面にフォーカスが当てられており、サッカー漫画というよりはバトル漫画なのだが、バトル漫画特有のパワーバランスの崩壊やインフレ現象が現時点ではほとんど見当たりません。
序盤の敵と後で同じチームになったり、逆に最初同じチームにいた仲間と後で対決することになったりするのですが、その際に急激な弱体化や強化が行われたりすることもなく、作者がキャラクター一人一人を大切にしているのが伝わってきます。
それに加えて、一試合一試合の長さ、そしてコンセプトが絶妙。ちゃんと事前に構想を練った上で書き始めているのが分かり好感を持てます。
欠点を挙げるとすれば、そこまで露骨ではないものの、見ようによってはBLを感じさせる要素があったり、犬猿コンビを「アンチコンビ」と読んだりと人によっては不快に感じるかもしれない中二病的な表現がある点でしょうか。
ただ、それらを鑑みてもこの作者の作品に対する真摯さには尊敬せざるを得ません。マガジン連載ということもあり少年漫画的な熱さにも事欠きません。
サッカー好きな人にはもちろん、熱いバトル漫画が読みたい人には是非おすすめの作品です。