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稀に見る真のアーティスト
Amazarashiを知っているだろうか?
「陰気な感じ」「厨二病っぽい」といったイメージを持たれることもあるこの音楽グループだが、聴けば聴くほど虜にさせる不思議な魅力を持っている。
作詞作曲を担当するボーカル、秋田ひろむの紡ぐ大半の曲には人生における暗澹たる思いが多数描写されている。しかし彼の一つ一つの曲には必ず最後に「救いの手」が用意されるのである。
曲の冒頭から中盤にかけて、自身の毒を思いつく限り吐き出す。しかし最後には必ず自分自身に対する鼓舞が現れるのである。
たとえばワンルーム叙事詩にはこうある。「雨にも負けて 風にも負けて 雪にも夏の暑さにも負けてそれでも人生ってやつには負けるわけには行かない」。
ファンはamazarashiと共に人生における苦痛を吐露すと共に、最後には希望が垣間見得る歌詞に勇気を貰い、明日を歩む糧とすることが出来る。
商業主義に満ちた音楽界においてメロディと歌詞両方で人の心を動かすことが出来るアーティストは貴重である。またコロナ禍のような鬱屈した感情に世界が支配されている時代にこそ多くの人に聴かれるべきアーティストだといえる。半信半疑でも良いので是非1曲でも聴いていただきたい。