この音とまれ!
この作品は箏曲部の話なのですが、心に傷を持った人達が集まり、支え合いながら成長していく物語です。読んでいると、とにかく心があったかくなります。音楽を通して気持ちをぶつけ合ったり、聴いている人の心を励ましたり…。読んでいる私も演奏を聴いているかのような気持ちになり、いつも泣きそうになってしまいます。また、表情の描写がとても丁寧で、表情だけでそのキャラクターの気持ちが伝わるような描き方がなされていて、さらに感情移入してしまいます。
私がこの作品を読み始めたきっかけは、本屋さんでたまたま見かけて表紙に惹かれて買ってしまったことです。1話では、ひとりだけの箏曲部を守ろうとしている真面目な部長と、ケンカばかりで勘違いされやすい主人公の愛(ちか)が出会います。いつも誰にも受け入れられない愛が、初めて部長に受け入れられます。何度読み返しても泣けてくる1話で、私も他人が何と言おうと自分でその人を見て自分でその人のことを判断したい、と思うようになりました。私が1番好きなキャラクターは部長なのですが、部長はいつも箏曲部のみんなのことを見ていて、何かあると1番にフォローします。男らしさはないけれど、そういう気配りや優しさがあるキャラクターです。