登山とは何かを考えさせられる
岐阜県と長野県に跨る北アルプスがこの作品の主な舞台である。ここには槍ヶ岳、穂高連峰、常念岳などの日本有数の名峰が多く存在し、全国から登山者が集まってくる。
彼らは各々登りたい山に登る訳であるが、登山者のレベルに合っていない、天候が良くない、体調が優れない、スケジュールに無理があるなどすると、遭難の危険性が出てくる。
そうして悪しくも山に閉じ込められてしまった人々を助ける、山岳救助ボランティア活動をしているのが主人公の島崎三歩である。
8000メートル級の山にソロで登るような実力者である彼は、山が好き過ぎて北アルプスに住んでいる。
北アルプスで山岳救助をする上で、島崎三歩ほどの適任者はいないだろう。
彼は遭難してしまった登山者を決して責めることはせず、「また山においでよ」と、救助した後に語りかけるのである。
自分の大好きな山を嫌いになってほしくない。もっと好きになってほしいという気持ちからである。
そんな彼が山岳救助隊の仲間と共に様々な登山者と出会い、救助し、成長していく物語。ラストは賛否両論あるが、山の楽しさや辛さ、怖さを教えてくれる。
登山が趣味の方だけではなく、あまり興味が無い方にこそ読んでほしい。