食いしん坊必見の笑って泣けるアニメ映画
とにかく視覚的に楽しい。アイスクリームの雪原で雪合戦とかドでかいホットケーキ(メイプルシロップ+バター付き)が降ってくるとか、食いしん坊ならたまらない空想が実現してヨダレがとまらない。
本作のテーマはモラトリアムニートの青年と不器用な父親の親子愛であり、素の自分を特別と認めてくれる存在の大切さに気付かされる話である。
子供は食べ物で街中埋め尽くされる夢のようにカラフルで楽しい映像に大喜びだし、大人は大人でフリントやサムのままならない承認欲求や劣等感、親とのすれ違いに共感する。
そして伏線の散りばめ方が非常に上手い。フリントが過去に発明した作品、一つ一つにちゃんと意味があり、後の展開で重要なアイテムとして生きてくる。
その事実によって、失敗作と決め付けられた作品も決して無駄じゃなかったというメッセージが輝く。
この物語はダメな人間への優しいまなざしが溢れてる。
ひとりぼっち、はみだしもの、変人……そんなレッテルを貼られ白い目で見られがちな人の背中を、「いいじゃないそれで」と押してくれるようなポジティブさがある。
各国に対応したソウルフードが降ってくるユーモアにもくすっとした。万里の長城をおみくじクッキーが直撃してからの二段オチなど、演出が本当にこっている。