身近なはずなのに面白い展開と魅力的なキャラクター
『月刊少年シリウス』(講談社)で2015年から連載しているマンガです。作者は清水茜さん。
まず、画力がすごい。ストーリーのイメージから若い作者さんかな、と思うのですが、戦闘シーンの迫力や人体の描き方が、ベテランの少年漫画家さんのように、正確さと激烈さがミックスされていて引き込まれます。
戦闘シーンと書きましたが、そうです。これは人間の体の中にいる細胞のお仕事を紹介しつつも、外から侵入する菌やウイルスを退治する場面も見どころのひとつなんです。
主人公は、女性の「赤血球」さんと男性の「白血球」さん。
キャラクターの服装も、本物の細胞らしさを残したデザインで、なかなかうならされます。たとえば赤血球だと、子供の頃に理科の授業でならった、あの中央がへこんだ楕円形を思い起こすでしょう。この作品では、赤血球たちの帽子が、その形になっているのです。
白血球の方も、私は不勉強で知りませんでしたが、菌やウイルスを発見した時にレセプターという受容体で感知するそうなのですが、それをクイズ番組の回答方法のような丸い看板で表しています。
面白いキャラクターはほかにもたくさんいます。キラーT細胞、マクロファージ、記憶細胞、樹上細胞……この漫画を読む前は、こんなふうに細胞の名前を並べられても「なんだか難しそうだなぁ」としか思わなかったのですが、今ではそのキャラクターの顔と一緒に体の中での働きが頭に浮かんできます。
もちろんマンガなので、実際とは違う表現や働きもあります。そもそも擬人化されていますし。
それでも、一番身近なのに意外と知らない自分の体、その中で毎日起こっている雑菌と細胞の働きを知る、よいきっかけになると思います。