mol-74

kanonのレビュー・評価・感想

mol-74
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今、最も”聴きたい”ロックバンド mol-74

「mol-74」(読み:モルカルマイナスナナジュウヨン)は
2019年4月にメジャーデビューを果たした日本のロックバンドです。

メンバー
・武市和希(たけいち かずき)
ボーカル、ギター、キーボード担当

・井上雄斗(いのうえ ゆうと)
ギター、コーラス担当

・髙橋涼馬(たかはし りょうま)
ベース、コーラス担当

・坂東志洋(ばんどう ゆきひろ)
ドラム担当

このバンドはVo武市の美しいファルセットボイス(裏声)とそれを引き立てる
ミニマルで繊細なサウンドが重なった独特な世界観を特徴としているバンドです。

今回はmol-74の素晴らしいアルバムの中から、
いくつかご紹介させていただきたいと思います。

1作目
3rd album「越冬のマーチ」
このアルバムはまるで「冬の夜」をイメージさせてくれるアルバムです。
導入の楽曲であるインストゥルメンタルの「La」から始まり、
「グレイッシュ」「アルカレミア」などといった美しい楽曲たちが展開されていきます。
アルバムタイトルに「冬」と書かれている通り、全体的にサウンドに冷たさを感じますが、
そんな中に温もりのような、ほんのりとした暖かさを感じさせてくれるアルバムです。

2作目
5th album「kanki」
先ほど紹介した「越冬のマーチ」とは対照的にこのアルバムは「春」を感じさせてくれるアルバムです。
季節を連想させる楽曲もmol-74の特徴といえるでしょう。
春の暖かさ、爽やかさの中にもどこか喪失感を感じさせる「エイプリル」。
手拍子のフレーズが特徴的な「%」。
そして最後の曲として、花が咲いたことをイメージさせる「開花」で終わります。
人間は誰もが何かしらの不安や問題を抱えて生きています。
このアルバムはそんな私たちでも春に咲く花のようにきっと「生まれ変われる」
といったメッセージが込められているように聴こえます。

3作目
Major 1st album
「mol-74」
こちらの作品は彼らの記念すべきメジャー1作目です。
それとともに、インディーズの総集編のような役割も担っています。
ほとんどの楽曲が今までの楽曲を再度録音したものですので、
以前のものと聴き比べてみる、などといった楽しみ方もできます。
その中でも唯一新曲である「Morning Is Coming」は、
トランペットの音が特徴的で楽曲全体としては、とても静かな雰囲気であるものの、
聴く者に「希望」や「光」を見せてくれる楽曲です。
彼らのメジャー1作目として、とても相応しい作品であると思います。

最後に、彼らのライブについて少し書かせていただきます。
私はmol-74のライブに何度か足を運んだことがあるのですが、
彼らのライブは技術的にも、表現的にも、クオリティーが高いです。
ライブ会場には音楽を引き立てる照明や、会場ならでは音響があります。
それらが楽曲と一つになり、素晴らしい空間が作られています。
また、「ライブ」というワードを聞くと、「盛り上がるもの」「ダイブやモッシュが頻繁に起こるもの」
などといったイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、mol-74のライブは観客は皆「棒立ち」状態です。
決して盛り上がっていないのではありません。
完全に世界に引き込まれているのです(一部賑やかな曲もあります)。
ですので、ゆったりと音楽を楽しむことができます。

音楽には様々な楽しみ方があります。
盛り上がったり騒いだりではなく、ゆっくり音楽を "聴きたい” 方にとっては
「mol-74」はとてもおすすめなバンドです。是非聴いてみてください。