ミスター・ノーボディ

ミスター・ノーボディ

『ミスター・ノーボディ』(原題:Il mio nome è Nessuno / My Name is Nobody)とは、1973年制作のマカロニ・ウェスタン。イタリア、フランス、西ドイツ、アメリカによる合作映画である。マカロニ・ウェスタン・ブームの末期に制作されたことから、通称「最後のマカロニ・ウェスタン」として知られている。原案および製作総指揮を巨匠セルジオ・レオーネ、監督をその愛弟子であるトニーノ・ヴァレリが務めたが、一部のアクションシーンの演出に関してはレオーネ自身が手がけたという説もあり、スタッフやキャストの間で議論が残る作品でもある。
かつて西部でその名を轟かせた伝説の早撃ちガンマン、ジャック・ボーレガードは、自身の高齢や命を狙われ続ける日々に終止符を打つため、ヨーロッパへと渡り静かに余生を送ることを決意する。過去の報酬を回収しながら、ヨーロッパ行きの船が出るニューオーリンズを目指して西部を旅するジャックだったが、その道中で自らを「ノーボディ(誰でもない)」と名乗る陽気で風変わりな若い風来坊の男と出会う。ノーボディはジャックの熱狂的なファンであり、彼が歴史に名を残す華々しい最期を遂げる姿を見届けたいと執拗に付きまとい始める。
ジャックはノーボディの策略に巻き込まれる形で、彼を亡き者にしようと迫る150人もの無法者集団「ワイルド・バンチ」を単独で迎え撃つ羽目になり、圧倒的な銃撃戦の末にこれを撃退する。それでもなお付き従うノーボディに導かれるように、2人はついに運命の最終対決を迎える。しかし、それはジャックを平穏に引退させるためにノーボディが仕組んだ「芝居の決闘」であった。世間的には死亡したと扱われ、晴れて過去の人となったジャックは密かに船へと乗り込み、新時代を担うノーボディへ向けた手紙を書き記しながら激動の西部を後にする。

natu_919のレビュー・評価・感想

ミスター・ノーボディ
10

西部劇初心者もマニアも楽しめる!

主人公、『ノーボディ』が憧れの伝説の老ガンマンに付いて回り、やがて彼と150人のワイルドパンチという悪党集団との決闘を実現させるべく奮闘する、という内容。西部劇といえば血生臭くで暴力的、というイメージを持つ人が多いと思うが、主人公の飄々とした性格と、コメディタッチな表現、出血表現の少なさが特徴の本作は、その常識をぶち壊しており、西部劇初心者にもおすすめできる作品になっている。だからといって、単に表現がマイルドになっている、というわけでもない。西部劇ファンも胸躍るガンアクションもしっかりと抑えており、ノーボディや老ガンマンの射撃の腕は、本作の見どころのひとつだ。そして、終盤の決闘シーン。『エンリオ・モリコーネ』作曲の勇壮なBGMが流れる中、ワイルドパンチの軍団を遠くに迎え、ライフルを手に取る老ガンマンの後姿は、熟練の勝負師たる風格を思う存分見せつける。圧倒的不利と思われる勝負を見守る、ノーボディ。臆することなく敵と対峙する、老ガンマン。絶望的な戦力差に勝利は不可能と思われたが、隙をつき、次々とワイルドパンチを撃破していく。このときの派手な爆破シーンは、流行りのCGにはない、迫力がある。ワイルドパンチを壊滅させた老ガンマンが、ノーボディとともに、盗んだ汽車で遠くの街へ旅立つ。そして老ガンマンは、念願の隠居生活を手に入れるという、ハッピーエンドだ。興味を持った方は、是非見て頂きたい。