「存在しない者」たちの忘れられた日常
『ファイナルファンタジー』や『ドラゴンクエスト』など数多くの大人気ゲームを手がけてきた「スクウェア・エニックス」と、毎年様々な人気アニメーション映画を手がけることでおなじみの、「ディズニー社」が手を組んだ最高のゲームシリーズ『キングダムハーツ』のサイドストーリーの一つです。シリーズの中で、最も泣けると人気の作品です。
シリーズの主人公、「ソラ」の影、いわゆる分身的存在である「ロクサス」が「ソラ」に帰る(吸収されて消える)まで、ある組織で過ごした日々を描く物語。そこには、「ソラ」の影でしかない自分の存在意義に対する苦悩と葛藤、同じ誰かの影である仲間たちと過ごした暖かな日々がありました。「ロクサス」を支え、組織の中で働けるように教育してくれた親友「アクセル」、「ロクサス」より後から組織に入り、新たに友達になった少女「シオン」。毎日組織の任務帰りに、時計台の上でアイスを食べ、くだらない話をする。そんな日常が、シリーズ主人公「ソラ」の目覚めと組織の陰謀によって、次第に崩されていきます。最後に明かされる衝撃の展開には、涙が止まりません。
任天堂DSという、画質がまだ粗い、小さな携帯ゲーム機で発売された作品ですが、多くのファンの心に刻み込まれた名作となったことでしょう。「ロクサス」「シオン」の登場シーンやメインシーンで流れる、それぞれのテーマ曲も鳥肌が立つほど美しく悲しい音色をしています。物語と音楽、どちらも楽しんで欲しい作品です。