ヘレディタリー/継承 / Hereditary

ヘレディタリー/継承 / Hereditary

『ヘレディタリー/継承』とは、2018年に公開されたアメリカのホラー映画である。この映画はアリ・アスター監督によって制作され、トニ・コレット、アレックス・ウルフ、ガブリエル・バーン、ミリー・シャピロなどが出演した。
トニ・コレット演じる一家の母親アニー・グラハムが、彼女の母親の死後に直面する家族の秘密や不気味な出来事を描いている。アニーは母親の死後起こる心霊現象の原因を探り、その結果、家族の過去と継承された暗い運命に迫っていく。
サスペンスとホラー要素を組み合わせた作品で、家族の心の闇と運命に焦点を当てている。物語は徐々に緊張感を高め、予測不可能な展開で観客を驚かせていく。
本作品はその独自の雰囲気と恐怖に対する批評的な評価を受け、特に、トニ・コレットの演技は高く評価された。
この映画は家族、運命といったテーマを掘り下げながら、不気味な出来事やショッキングな場面を通じて観客に恐怖を与える作品として知られている。

And12のレビュー・評価・感想

ヘレディタリー/継承 / Hereditary
8

ホラー上級者向け異色サイコスリラー

何かが追いかけてくるような心臓を高鳴らせるホラーではない。むしろ心臓を止めにかかってくる、日常が壊死して異常になり果てる過程を描くサイコスリラーである。
話は、少しずつ問題を抱えているがごく普通に見える家族4人が中心となる。皆普通の生活を守ろうと普通に生活をしていたはずなのに、少しずつずれていく。それが一人の人間の死によって思わぬ方向に大きく踏み外していく。何より恐ろしいのは、大きなきっかけはあれどその異常がいつからはじまっていたのか、どこで間違えたのかを見ている側も主人公たちと共に気づけないところだ。
恐怖というよりも人間の本能的な嫌悪と気が狂いそうな不安をどこまでも静かに描く為、ホラー映画を見慣れた人間ほど「私の知ってるホラーじゃない!」と根底を揺さぶられる筈。是非その不安定さを味わって欲しい。また、できるだけ前情報やネタバレを見ず、足元からゆっくりと忍び寄る冷気のような狂気を存分に摂取して見終わった後足元をふらつかせながら後悔して欲しい。なぜなのか?誰なのか?彼らはどんな感情なのか?そしてもしも自分が巻き込まれてしまったら、と考えながら見るのが最も疲れるが最も楽しめる見方だと思われる。評価が満点でないのは、おそらく何度も見たい人ともう二度と見たくない人に分かれる為。