進撃の巨人
外の世界に生息している巨人の存在を知りながらも、それらの脅威を阻む何十メートルもの大きな壁の中で、生活している主人公エレン。周りの大人たちは皆、何十年もの間変わらない日々を過ごしていた。だが、限りある土地で過ごす姿が、何者かに飼われている「家畜」のように感じたエレンは、「自由」を求め、壁の外の世界を目に焼き付けたいと考えていた。そんな中、これまで外敵の脅威から人々を守ってきた壁が巨人に突破され、序盤からエレンの母親が食べられるというシリアスな展開から大きく物語は動いていく。序盤は、母親を失うことで「自由」を奪われたエレンが憎しみを糧にして多数の巨人と対峙していくという構図で物語は進んでいく。しかし、中盤で巨人の正体が人間であること、全滅したと思われていた壁外世界には数多くの人類の文明が発展していることが明らかになる。そこからは、外界からの脅威から自衛を図る「壁内人類」と負の歴史的感情から壁内人類を憎み殲滅しようとする「壁外人類」との戦いが主となっていく。この物語は、自らの「自由」を獲得することの尊さを登場人物の立場や心情であったり、社会の成り立ちなども絡めて主張しており、とても見事に仕上がっている作品となっている。