こんな青春を送りたかった!
とにかくアツい!そして泣ける作品です。中学で不良少年だった主人公が、高校で部活に熱中し、仲間と支え合いながら全国制覇を目指すという、言ってみればよくある青春マンガのストーリーなのですが、このマンガはまず高校筝曲部を舞台にしている点が新しいと思います。筝を題材にしたマンガというとお堅く感じるかもしれませんが、主人公や部員はほとんど筝の初心者ということで、登場人物たちと一緒に筝のいろはを学んでいけます。作者は筝の経験者なので、楽器の書き込みは当然リアルですし、演奏時の迫力も画から伝わってきます。筝の音色ってどんなものなんだろうと興味がわくような画力です。
そして、登場人物の心理描写が丁寧なのもこの作品の特徴です。登場人物一人一人にしっかりとストーリーがあり、台詞の一つ一つが素敵だなぁと思えるものばかりです。少しずつ成長していく彼らの姿を追っていると、自然と感情移入してしまい、泣けてきます。親との関係、友人との関係、部活内での立ち位置など、高校生というのは様々な周囲との関係で悩む時期だと思いますが、このマンガはそうした高校生が抱える悩みにも触れ、読者がヤキモキするような甘酸っぱい恋愛の要素も含んでおり、まさにこういう青春を送りたかったという要素が満載の作品になっています。