本当の優しさとは
花とゆめ(白泉社)で連載された「フルーツバスケット」、作者は高屋奈月です。2001年にアニメ化され、2019年にリメイクされました。主人公の本田透は平凡な普通の女子高生ですが、不慮の事故で母親を突然に亡くしてしまい、訳あって一時テントで一人暮らしをすることに。しかし、そのテントを張った所が草摩家が所有する土地だと透は知る由もありませんでした。ストーリーは透が草摩紫呉と、同級生の草摩由希の家を近所に見つけるところから始まります。土砂崩れでテントを失ってしまい、しかも風邪で倒れてしまった透は、それがきっかけで草摩家に居候することになります。そこで透は、草摩一族の最大の秘密を知ってしまいます。その秘密とは草摩家は代々十二支の物の怪が生まれながらに憑いており、その12人(猫を合わせると13人)は異性に抱きつかれたり、体が弱ると憑かれた獣に変身してしまうという体質でした。普通にはないストーリー構成は読者や視聴者の関心を引きます。草摩家はその秘密について呪われている、決められた宿命と言いますが、ストーリー自体はそこまで暗い印象はなく、まるでラブコメディーのようにストーリー展開をしていきます。キャラクター(登場人物)、一人一人の個性や性格がはっきりしていて、次に透が出会うのは誰かと思わず期待してしまいます。また透のやさしさや温かさが、出会う草摩家の人々をさりげない言葉や行動で救っていくところも魅力的です。本当のやさしさは人を信じられる勇気や信念や情熱なのではないだろうか、また人のために涙し、行動できる強さこそ本当のやさしさなのではないだろうかと考えさせられる作品です。