プーさんの名言たち
わたしのよく知るくまのプーさんは、なんだかぼーっとした、ハチミツが大好きなくまさんだったのだが、ここに出てくるプーさんはなんだか落ち着いたずっと年上の友人みたいだった。クリストファー・ロビンは結婚も戦争も不況も経験し、すごく“大人”になっていた。悲しい現実の犠牲になった大人で、今の時代にたくさん見かけるタイプの大人だ。あの頼もしくて想像力豊かで優しいクリストファー・ロビンの面影はどこかに消えかけていて、そこがなんだかリアルだ。この物語はそんなクリストファー・ロビンが再び輝くまでの物語だ。やっぱりそうこなくっちゃ、という一緒にワクワク感できた。プーさんは物語の中でポツリポツリと一言一言語っていくのだけれど、その一言一言がものすごくじーんとくる。それもプーさんだから言える言葉たちで、プーさんから発せられるから意味のある言葉になる。全く違う世界観で描かれているものなのに、自分の人生について深く考えてしまう。プーさんの口から次にどんな言葉が出てきて、わたしを助けてくれるんだろう、なんていう気持ちにさえなる。最後にプーさんが“明日”という日について呟いた一言に涙が出た。