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お酒と優しさを教えてくれる漫画
パリのカクテルコンクールで優勝した経歴を持ち【神のグラス】と称される腕前を持つ主人公・佐々倉溜が、日本に帰国してきた所から始まるストーリー。
様々なお酒が登場し、その味や製造方法や歴史などの紹介がストーリーの中でごく自然に語られるので、読んでいる内に気が付いたらお酒の知識が増えていきます。
各章毎に登場するゲスト(お客さん)達は皆どこかに寂しさや不満を抱え込んで日常を生きています。そんな人たちの心のわだかまりにスッと気が付く事が出来る佐々倉溜は、そのお客様に今最適なオーダーというものを次々に提供していきます。その快刀乱麻の活躍に思わず心が躍ってしまい、そしてお酒の解説はとても勉強になります。また、「なぜ佐々倉溜は人の寂しさや不満に気付けるのか」もさりげなく綴られており、この心理学的な要素が私的には一番のミソだと思っております。
この漫画は普通に漫画として楽しめるのですがそれ以上にコミュニケーションの学習ツールとしてもオススメ出来ます。
また主人公・佐々倉溜は劇中でも紹介されるのですが趣味が読書であり、さらにお酒が登場する又は関与する映画や音楽にもめっぽう詳しいので様々な作品(書籍、ドラマ、詩集)から名言を引用してお客様と会話するシーンがたくさんあります。そのお陰でついこちらまで海外の名言を記憶してしまう、という事が頻繁に起きます。
お酒の本だから、と嫌煙されるかもしれませんがお子様にお読みいただいても大丈夫、というか私的には全力でオススメしたい作品です。