JOKER【現代社会における闇と光を描いた作品】
ハリウッド映画の【JOKER】を見て衝撃を受けた。
元はアメコミ作品の派生キャラ、しかも監督は下ネタ・下らないギャグ満載の作品【ハングオーバー】シリーズのトッド・フィリップスということもあり、どこか色物を感じさせる予感がしたが、それは予告編を見ただけでも杞憂に終わった。
主演のホアキン・フェニックスの不気味な笑顔は物語全体に漂う陰鬱な雰囲気をこれでもかと醸し出し、これはギャグ路線は一切ないシリアスな作品だと瞬時に感じることができた。
そして作品を実際に見て思ったことは、その感触は間違いではなく、【JOKER】は間違いなく映画史に残る作品に他ならないということだった。
作品単独としてのストーリーを確立しつつ、【バットマン】シリーズの要素を要所要所で盛り込み、アメコミ作品をシリアスに描いた【ダークナイト】に似た雰囲気を漂わせている。【ダークナイト】でヒース・レジャー演じたジョーカーも映画史に残る強烈な悪役となったが、今作のジョーカーもそれとはまた違ったキャラクターが確立されていた。
主人公である売れない道化師が光を求めて悪戦苦闘していく中で、実際の生活は苦しくなるばかり。
そういった中で自分を蔑み、または裕福な暮らしをしている層に対して恨み、辛み、妬みの感情が入り混じり、次第に闇を抱えていく様は見ているこちらも胸が苦しくなる感覚を覚える程だった。
物語が進んでいく中での苦しい、重い空気感を現代に生きる我々はどう感じ取るか?どう感じとるべきか?鑑賞後、そのようなことを自問自答させられる作品だった。現代人こそ必ず見るべき作品である。