恐怖の報酬 / Le Salaire de la peur

恐怖の報酬 / Le Salaire de la peur

『恐怖の報酬』(きょうふのほうしゅう、原題:Le Salaire de la peur)とは、1953年に制作されたアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督によるフランスのサスペンス映画である。ジョルジュ・アルノーの同名小説を原作とし、中米の荒野を舞台に、高額な報酬と引き換えに危険なニトログリセリンを運搬する男たちの極限状態を描いている。
本作は公開直後から高く評価され、1953年の第6回カンヌ国際映画祭で最高賞にあたるグランプリ(現在のパルム・ドール)と男優賞(シャルル・ヴァネル)を受賞。さらに同年の第3回ベルリン国際映画祭でも金熊賞を獲得するなど、国際的な映画祭を席巻した。映画批評サイト「Rotten Tomatoes」においても支持率100%を維持し続ける、映画史に残る傑作の一つとして数えられている。
舞台はベネズエラのうらぶれた街、ラス・ピエドラス。そこには職を失い、食い詰めた異国からの移民たちが絶望的な日々を送っていた。主人公のマリオ(イヴ・モンタン)もその一人であったが、ある日、500km先にある油田で大規模な火災が発生する。石油会社は爆風による消火を試みるため、不安定で爆発しやすい液体ニトログリセリンを現場まで輸送することを決定。あまりの危険さに、正規の運転手ではなく、街の食い詰め者たちから選ばれた4人の男に2,000ドルという破格の報酬を提示して任務を託した。
マリオ、ジョー(シャルル・ヴァネル)、ルイージ、ビンバの4人は2台のトラックに分乗し、死と隣り合わせの行軍を開始する。道中には「洗濯板」と称される波打った悪路や、方向転換すら困難な狭い崖道など、わずかな衝撃が死に直結する障害が次々と立ちはだかる。恐怖に駆られ精神を蝕まれていく男たちの葛藤、そして「恐怖に対する代価」としての報酬の意味が問い直されていく。物語の終盤では、先行するトラックの爆発や原油による路面の水没といった過酷な試練が彼らを襲い、皮肉で衝撃的な結末へと向かっていく。

kokubu888のレビュー・評価・感想

恐怖の報酬 / Le Salaire de la peur
10

こんなに緊張して観た作品はない

フランス映画のアメリカリメイク版で、フリードキン監督が今もって1コマも修正したいと思う箇所がないと言い切ったらしい、最高傑作です。映画館でこんなに緊張しながら見た映画は初めてでした。体に力が入って、映画が終わった時には疲れを感じたくらいです。人にこの恐怖心を伝えようと思っても、「爆発するかもしれないニトロを運ぶ映画で…」といっても伝わらないんですよね。
CGなんて技術がなかった時代に、これどうやってとったんだろうと思うシーンがたくさん出てきます。嵐の中、ぼろぼろのつり橋を渡るシーンではわたりながらどんどん壊れていって激流に流されそうになったり、やっと無事にわたりきったと思ったら大木が倒れていて通れなかったり…一難去ってまた一難で、ずっと緊張しっぱなしでした。難所をうまく抜けたのに、何でこんなことになるの?と絶望感も度々。
男たちは汚いし、風景も決してきれいではないし、最初から最後までほとんどが汚い。それでも完全に引き込まれる映画です。最終的に成功者が出るのか、全員死ぬのか。言わないでおきます。ぜひ見てください。めちゃくちゃ面白いです。アメリカで公開されたとき、スターウォーズブームの直撃を受けヒットせず、監督に無断で30分カットされたものが配給されたそうです。今の時代に完全版が上映され「ありがとう!」という気持ちです。