スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 / Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street

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スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 / Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street
9

退廃的でどこか美しい雰囲気を持つ、殺人鬼の物語

本作は「切り裂きジャック」という、過去に実在した未解決連続殺人犯をモデルとしたフィクション映画です。
切り裂きジャックとして描かれるのは、腕のいい理髪師であるベンジャミン・パーカー。演じるのはパイレーツ・オブ・カリビアンのジャック・スパロウ役などでも知られるでジョニーデップです。原作は同名のミュージカルであり、本作も随所でミュージカル調の演出が見られ、ジョニー・デップらの美声は必聴です。

パーカーは妻を狙うターピンの策謀により無実の罪で流刑に処され、後にスウィーニー・トッドを名乗りフリート街へ戻ります。
そこで出会ったラヴェット夫人から、妻は判事にいたぶられ自殺したと聞かされ、復讐劇が始まります。

トッドは自分の正体を隠すため、復讐のため、あるいはただの腹いせに次々と人を殺めていき、死体の肉はラヴェット夫人のミートパイとして売られていきます。

ある時トッドの店に訪れた女性を殺害。その直後に訪れたターピンの殺害に成功しますが、先ほど殺害した女性がラヴェット夫人から死んだと聞かされた最愛の妻であることに気が付き、激しい怒りを覚えた彼は自分に好意を持っているラヴェット夫人をワルツに誘い、踊ると見せかけて彼女を窯へ放り込み殺害。
トッドは妻の亡骸をその胸に抱きながら、ラヴェット夫人が保護していた少年に自らの剃刀で喉を切られ、妻の亡骸を抱いたまま静かに命を失っていきます。

この誰も幸せにならない、悲しい物語。
彼の所業は許されるものではなく、天国にはいけないとは思います。それでもせめて、死後の世界で二人が幸せになることを願わずにはいられません。