人類の叡智を詰め込んだ作品
人類の歴史と現代の文明の偉大さを教えてくれる素晴らしい作品。冒頭は主人公の千空やその友人が在籍する高校の日常が描かれているが、その日常はあまりにも唐突に終わりを迎える。地球規模で人類が石化するという現象が起こり、そこからおよそ3700年後の文明が荒廃した世界が舞台となる。千空は幼少期から培ってきた科学の知識と天才的な頭脳で文明を3700年前のレベルまで戻すこと、全人類70億人の石化を解くこととその原因を解明することを目的として物語は進んでいく。
この作品の素晴らしいところは、わたしたちが当然だと思って疑わない身のまわりの現象やモノに対する不思議さ、偉大さについて気付かせてくれることである。例えば電球。今でこそ夜であっても明るく日中と同じように過ごすことができるが、文明が発達する前の世界では考えられないことである。そしてそんな世界の実現が叶ったのは人類が地球に誕生してから約200万年が経ってからのことである。そうした文明を科学的知識を駆使してごく短期間に再建していく様は実に壮観で、人類の偉大さを実感させられる。もし自分が幼少期にこの作品に出会っていたら、感動して身のまわりのことにもっと好奇心を持って過ごしていただろうし、多くの知識を得られた気がする。この作品に出会ってからは本などを読んで勉強しようとも思えた。また、友情や努力の大切さも再認識させてくれる。自分に子どもができたらまず触れさせたい作品。