amazarashi / アマザラシ

amazarashi / アマザラシ

amazarashiとは青森県で結成された日本のロックバンド。
時代をリアルに切り取る歌詞とメロディアスな楽曲、耳に心地よいミドルトーンの声。
アニメやゲーム業界とのタイアップを精力的にこなし、なおかつメンバーの顔写真が検索してもヒットしない謎に包まれたバンドである。
紗幕をステージ前面に張り、そこにタイポグラフィーと映像を投影するという独自のライブ演出が展開される。

oozeki10のレビュー・評価・感想

amazarashi / アマザラシ
9

雨晒しから光のさす場所へ

amazarashiは秋田ひろむがギターボーカルを務めるバンド。昔はフォークソングに近い曲も多かったが、最近はロック調の曲も増えている。このバンドの特徴は発信者の影響を受けさせないよう秋田ひろむが顔を出していない事もあり、内省的な歌詞である。
1stアルバムの曲、「光、再考」では神様がボロアパートで首を吊ったという歌詞がある。訴えている内容はとても暗く、陰鬱としていて、最初は聴き手を選ぶかもしれない。中島美嘉に楽曲を提供した「僕が死のうと思ったのは」では繰り返し主人公が死にたい理由を悲痛な声で叫び続ける。秋田ひろむの声は流行りのアーティストから比べるとかなり声を張り上げており、それがより悲壮感を漂わせる。
ただ暗いだけのバンドではなく、「光、再考」では君は今は闇の中にいるだけであり、また光が射すと歌い、「僕が死のうと思ったのは」では今までの訴えは全ては貴方に出会っていなかったからだと言う。逆説的な主人公は僕は今は死のうと思っておらず、希望を見出している事が分かる。昨今、オルタナティブロックが流行り、歌詞の陰鬱さを売りにしているバンドは多いが、歌詞に起承転結やわずかな希望を見出してくれる歌詞は少ない。秋田ひろむにはそれができている。陰鬱さからのカタルシス、これがamazarashiの魅力だ。
東京グールやどろろの主題歌にも抜擢されている。アニメが好きな層にも陰鬱とした気持ちを抱えている人は多いだろう。主題歌を通じて知ってくれる人が増える事を願っている。