全米では社会現象?JOKERの魅力を考察
2019年10月公開の映画「JOKER」。
この映画は、アメコミ映画としては異例の大ヒットを記録しています。
以前「ダークナイト」でジョーカー役を演じたヒースレジャーの怪演は、主役のバットマンを食ってしまったと言っても過言ではなく、同じジョーカー役をテーマに映画が出来るということで、期待もあり不安もある胸中で映画を見に行きました。
ここからネタバレを含みます!!
私はこの映画は、「ジョーカー」に感情移入出来るか、「ジョーカー以外」に感情移入して見るかでかなり見方が違うと思いました。というのも、隣の席にいたカップルが、ジョーカーの何気ない行動で笑うのですが、私は笑えませんでした。むしろなぜこの場面で笑えるのか?と思えるぐらいでした。そこでふと、気づいたのです。
私は、完全に「ジョーカー」に感情移入している、なので彼の悲劇が喜劇に思えないのです。
大勢の人が見る映画館という箱の中で、今までの人生経験やバックボーンが違うだけで、こうも見方が変わるのかと実感しました。
最後のシーンでジョーカーが、精神鑑定の女性に「いいジョークが思いついた」と言います。ジョーカーは彼女にジョークを教えて欲しい、と言われますが、「どうせわからない(理解できないさ)。」と、今までとは違う表情で笑います。
ジョーカーにとって、2時間映画館で上映されていた内容は、”喜劇”なのです。件のカップルのように、人生の黒い部分を体験していない人にとっては、これは”喜劇”なのでしょうか。それとも、この2時間は、ジョーカーの妄想なのでしょうか。
彼が劇中で人を殺した数は、歴代の悪役の中では少ないかもしれません。しかし、映画を観終わった現代人にどれだけ影響を与えたのかを考えると、とんでもない影響を及ぼしたのではないかと思います。
映画館を出て、第2第3のジョーカーが生まれたとしたら、これはとんでもないことだと思います。
なぜ、みんなジョーカーの魅力に取り憑かれるのでしょうか。それは彼が「どこにでもいる、今隣にいる”一般の人”が悪になる瞬間」を映しだしているからではないでしょうか。