さっそくライブに行きたくなる最新アルバム
待ち望んでいた椎名林檎の2019年時点で最新のアルバム『三毒史』について感想を述べたいと思います。初回限定盤にはアルバムコンセプトの曼陀羅を取り入れたステッカーがついてきます。購入してさっそくパッケージを眺めていると、きれいに5文字にそろった曲名や黒い色調にペガサスをあしらった椎名林檎などが見受けられ、何となくダークで暗い曲が多いのかなと勝手に想像していました。しかし曲を聴いてみると、一曲目の「鶏と蛇と豚」から最後の「あの世の門」までスピーディーでアップテンポな曲が多く、みごとに自分の予想を覆されました。椎名林檎の世界観を伝える文芸的ともいえる詩、そして宮本浩次、櫻井敦司、トータス松本、浮雲といったゲストミュージシャンとの絶妙な掛け合いと、表現者としての魅力が引き出されている見事な出来栄えとなっています。ゲストミュージシャンたちはそれぞれ個性があり、このアルバムの世界観を見事に作り出しています。ここまでアップテンポな曲が多い中、なぜか聴いていて疲れない耳心地のいい曲ばかり。そこに椎名林檎の魅力があるのだと改めて感じさせてくれます。それぞれの曲を聴き返したり、詩を読み返したりしてみると、椎名林檎が以前よりますますアップグレードしているかのように感じます。アルバム付属の写真には中世ヨーロッパの騎士か北欧神話のイメージが載せられていますが、ファイナルファンタジーやドラクエに代表されるRPGの世界を表しているかのようです。今までファンでなかった方々も、ますます装備充実!レベルアップしている椎名林檎「三毒史」をぜひ聴いてみてください。