多才な羅川真里茂
初めて羅川真里茂さんの作品に出会ったのは「赤ちゃんと僕」でした。最初はありきたりな日常を書いたほんわかしたストーリーで、最後の方でやっと気づくのです。「この人この結末を予想して前のシーンを書いたのか」と。そこからだんだんハマりだし行き着いたのが「ニューヨーク・ニューヨーク」でした。羅川真里茂作品ながらそこまで知名度が大きくないのはおそらくジャンルが違うからかもしれません。「赤ちゃんと僕」でもごくごく稀に深い話はありましたが、おすすめの上記の本はテーマが重たいです。セクシャル面の事から犯罪についてまで。絵は同じなのにストーリーの訴えかける部分が全く違います。性を越えた恋愛の難しさや命の尊さ、家族になる意味。登場人物の人生を描いたような作品でした。私の偏見なのかもしれませんが。とてもそんな漫画を書く作者だとは思わずに安易な気持ちで購入し全部読み終わったあとは自然と涙がこぼれていたのを覚えています。なぜかと聞いても分からないけど心を動かされた漫画でした。そこからはこの本が私の人生で一番好きな本に上がりますがなかなか作品名は知っていても中身は知らない人が多いのが残念です。色々な人に読んでもらってこれからの人生の違う視点で歩めるようになっていけるといいなと密かに思いました。