3月のライオン
絵柄が可愛らしくて、家の中の様子などがとても細かく書かれていて、面白いです。
また、心理描写がとても繊細なため、寂しい雰囲気や暖かい雰囲気がよく伝わってきます。
主人公の桐山零は、中学生にしてプロ棋士になった天才です。そして、幼いころ、家族を交通事故でなくして天涯孤独な少年です。そんな主人公が、川本家の三姉妹との交流を通じて徐々に元気を取り戻していく姿に心が温まります。
川本家にご飯を食べさせてもらったり、何かと気にかけてもらっていた零ですが、次女のひながクラスメイトにいじめられた時、なんとか彼女を守ろうとします。また、離婚して出て行った三姉妹の父親が帰って来た時、父親との確執に自分から首を突っ込んで三姉妹を守るようになります。最初は傷だらけで弱々しかった零が、巻数を重ねるごとに強く頼もしい少年に成長していく姿は、とても胸に響きます。
また、零はひなのことが好きになります。彼女に対する真っすぐで、どこかずれた情熱は、笑えるところでもあり応援したいところでもあります。
零は、人として成長するにしたがって、棋士としても成長していきます。同じ棋士仲間の二海堂は零をライバル視する一方、彼のことを気にかけてくれます。また、他人に対して丁寧に接する零が、おそらく一番遠慮なく話せる相手だと思います。性格の違う二人が、言いたいことを我慢せずに話している様子がとても面白いです。