スポ魂ならぬ音魂漫画!
変態だけどピアノに関しては天才的な才能がある主人公野田恵(=のだめ)と、音楽にも日常生活にも一切の妥協も許さない完璧主義者の千秋真一が織りなす学園ラブストーリー。9巻までは2人の音大生活が描かれ、ギャグ満載のコメディタッチ。それはそれですごく面白いのですが、個人的には10巻以降の2人がヨーロッパに渡ってからの方がオススメです。のだめと千秋のお互いへの想いと音楽への情熱が絶妙に交錯し合い、時に嫉妬し、時に寄り添い、もがき苦しみつつも音楽から離れることはできず、結局音楽を求めてしまう。2人の音楽家としての性が苦しいほど感じ取れ、かなり深い大人の漫画になっていると思います。また周りを取り巻く人物達も魅力的です。特にのだめ達と同じアパルトマンに住むロシア人留学生のターニャのモノローグには心打たれました。彼女がのだめや千秋の音楽を聞き、その天才的な才能に自分は到底太刀打ちできないと感じつつも、「私も同じ場所にいたい」と決意し、ピアノに正面から向き合い、コンクールに出場するところは私のような凡人にとってはもしかすると一番共感できるポイントなのではないかと感じます。とにもかくにもこの漫画はスポ魂ならぬ音魂漫画であり、日本の漫画史上に残る名作中の名作だと思います。