のだめカンタービレ / Nodame Cantabile

『のだめカンタービレ』とは、2001年~2010年 講談社KC Kissにて連載された二ノ宮知子による漫画作品。
女性漫画誌にて掲載された作品だが、ドラマ・映画・テレビアニメ化され男女問わずに人気を博した。
主人公野田恵(のだめぐみ)通称:のだめがクラシック音楽に向き合い、大学の先輩である千秋真一(ちあきしんいち)通称:千秋先輩との恋愛を介し成長していく物語となっている。
音大に在籍中に二人は出会い、才能に恵まれながらもプロになる意識は低く、音楽と本当の意味で向き合う気がないのだめと、多彩な才能を持つがトラウマを克服できず将来の展望を思い描けない状態でくすぶっていた千秋が出会うことで、物語が動き始める。
全編を通して、どう音楽に向き合うかがテーマとなっているが、コメディの要素も強く読みやすい要因となっている。
主人公が大学時代は学内オーケストラを主流とした話になっているが、卒業後は音楽留学に伴い物語のステージはヨーロッパとなる。
ひとりの女性が成長していく話としては壮大なストーリーともとれる内容になってはいるが、のだめがが千秋先輩と一緒にいるために、音楽と向かいあわざる得ない状況から、少しずつ覚悟を決めていく様が如実に描かれている。
累計発行部数は3870万部。ドラマ化に伴い、連動したオフィシャルアルバムはクラシックのサントラとして異例の売り上げを記録した。

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のだめカンタービレ / Nodame Cantabile
10

スポ魂ならぬ音魂漫画!

変態だけどピアノに関しては天才的な才能がある主人公野田恵(=のだめ)と、音楽にも日常生活にも一切の妥協も許さない完璧主義者の千秋真一が織りなす学園ラブストーリー。9巻までは2人の音大生活が描かれ、ギャグ満載のコメディタッチ。それはそれですごく面白いのですが、個人的には10巻以降の2人がヨーロッパに渡ってからの方がオススメです。のだめと千秋のお互いへの想いと音楽への情熱が絶妙に交錯し合い、時に嫉妬し、時に寄り添い、もがき苦しみつつも音楽から離れることはできず、結局音楽を求めてしまう。2人の音楽家としての性が苦しいほど感じ取れ、かなり深い大人の漫画になっていると思います。また周りを取り巻く人物達も魅力的です。特にのだめ達と同じアパルトマンに住むロシア人留学生のターニャのモノローグには心打たれました。彼女がのだめや千秋の音楽を聞き、その天才的な才能に自分は到底太刀打ちできないと感じつつも、「私も同じ場所にいたい」と決意し、ピアノに正面から向き合い、コンクールに出場するところは私のような凡人にとってはもしかすると一番共感できるポイントなのではないかと感じます。とにもかくにもこの漫画はスポ魂ならぬ音魂漫画であり、日本の漫画史上に残る名作中の名作だと思います。