SLAM DUNKのリアリティ
バスケットボール漫画は売れない!そう囁かれていた時代に一つの名作が生まれた。
1990年に週刊少年ジャンプで連載がスタートしたスラムダンクだ。
井上雄彦の圧倒的な画力は言うまでもなく、ストーリーにリアリティがある。
人間離れした必殺技などは存在せず、現実的なプレイがベースに描かれている。
NBAが好きな人などはご存じであると思うが、スラムダンクに出てくるキャラは実際のバスケットボール選手をモチーフにある程度設定されている。
主人公桜木花道はデニス・ロッドマン、ライバルの流川楓はマイケル・ジョーダンなどが有名だ。
なので、突拍子もない必殺技などは存在しない。高校生にしてはハイレベルでは多少あるが…。
スラムダンクというタイトルからすると、派手なダンクなどを想像してしまうが、なんと主人公が得意とするシュートはそうではない。
作中では「庶民シュート」という誰もが最初に練習するであろう、ドリブルシュートとジャンプシュートである。
このたった二つの基本的な攻撃が主人公の武器である。
むしろ主人公の力が発揮されるのが、ディフェンス面である。
リバウンド(シュートミスによってゴール板やリングにはじかれたボールを取る)という一見地味な行為に見える。
しかし、このリバウンドはバスケットボールではとても重要視されている。
「リバウンドを制する者は、試合を制する。」という名言すら作中では出てくる程だ。
こういったバスケットボールをしている誰もが基本としているプレイを中心に描かれているので、スラムダンクを読んでバスケットボール人口が急増したことは言うまでもない。
バスケットボールを題材にはしているが、コツコツ努力していくことが、結果的に大きな成果を生むというストーリーは他のスポーツはもちろんのこと、仕事や人生にもとても大切であることを教えてくれる。
初めて読む方も、もう一度読み返す方も、大人になったからこそ何か一歩踏み出せる勇気を与えてくれる。
そういったストーリーにスラムダンクはなっている。