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様々な人間関係の在り方が問われる
不器用で陰キャな太一とそれを取り巻く友人たちの関係が描かれている作品です。太一の幼馴染であり皆からの人気者である桃真とのすれ違いだったり、その桃真に憧れる双葉に、太一が桃真に罪悪感を感じながらも惹かれて行ったり…。初めは双葉と太一が惹かれ合う普通の作品かと思っていましたが、そうではありませんでした。双葉は太一の素直さや内に秘めた強さに惹かれ、桃真は実は太一にずっと片思いしていて、という構図が凄くもどかしくそれでいて自分や自分の周りの環境を再度問うとてもいい作品だと感じました。絵の繊細さもさることながら、人物それぞれの表情がとても豊かでかわいらしく、時には力強く、とても引き込まれる良作です。人気者の桃真を取り巻く友人たちの人間関係も徐々に描かれていき、さも自分が彼ら彼女らの学年のクラスメイトであるような錯覚も感じます。人間関係は表面に現れているほど単純ではなく、複雑で、理不尽でもあるというやるせなさや不安感も感じます。ただそのような状況を主人公たちがどのように感じ考え、突破していくのか、これからの展開が非常に楽しみです。また、章の間や巻末に描かれたミニキャラがとてもかわいいのもおすすめです。