演出が面白いフランスのドキュメンタリー
オリヴィエ・バビネ監督によるフランスのドキュメンタリー映画です。
舞台はパリの北東郊外の街、オルネーとスヴラン。ここは公営の集合住宅が立ち並び、劣悪な環境とされる地区のひとつです。移民が多く暮らすこの街で育つ11人の子どもたちへのインタビュー映像は、それぞれに個性豊かで、彼らが生きる現実、独自の視点、心に抱く夢が引き出されています。
この作品の面白いところは、普通のドキュメンタリーの様なインタビュー映像だけでなく、ひとりひとりの心情や生き方を、その個性に合わせてミュージカル風、SF風、などのいろいろなジャンルの映画のように撮り表現されている点です。タイトルの『Swagger』には、「偉そうにいばって歩く」「ふんぞり返って歩く」や、「流行の、いきな」という意味があり、この街で子どもたちを取材するに当たって、頻繁に聞こえてきた言葉だそう。
被写体の子どもたちの嘘のない言葉がリアルに入ってきて、考えさせられるシーンもありましたが、監督による映画的な演出が入ることで、重過ぎたり、観たあとの後味が悪くなるということはありません。パリというと華やかなイメージだけが先行してしまいがちですが、こういった面にも目を向けることは大切だと感じました。