LISA RPG / LISA: the First / LISA: the Painful / LISA: the Joyful

LISA RPG / LISA: the First / LISA: the Painful / LISA: the Joyful

『LISA』とは、世界終末(ポストアポカリプス)系ロールプレイングゲームの三部作。
ディンガリング・プロダクションズが開発・販売を行い執筆・ゲームデザイン・作曲はオースティン・ジョーゲンセン。
1部と2・3部とでゲームスタイルや舞台としている世界が異なるが、全作品通してポップな絵柄とは裏腹に陰鬱とした狂気的な世界観は多くの支持を得た。

fato610のレビュー・評価・感想

LISA RPG / LISA: the First / LISA: the Painful / LISA: the Joyful
7

おじさんまみれのディストピア「LISA」

Steamで販売されているLISAというゲームは、フラッシュというなぞの光による災害から世界が一変してしまったディストピア・ゲームです。主人公ブラットは、フラッシュのまえは、どこにでもいる子供たちに武術を教えていただけのふつうに暮らしていた男性でした。沢山の人間がたおれ、女性が一人もいなくなり人口が増えなくなった荒廃した世界。どこからか出回った依存性の高いあぶない薬「ジョイ」。人間だったハズがなぜか化け物に変わり、人間を襲い始める「中毒患者」。人口がおそるべき速さで減少し、モラルも秩序もなくなった血と暴力の世界に赤子の声が響いていました。主人公のブラッドは祈りながらも恐る恐るその子供を見てみると、それがこんな酷い世界には存在してはいけない性別、女だった事に気づきます。何をしてでもこの子だけは守ろう、この子に幸福な人生を歩ませよう。武術の腕だけは確かだったブラッドはすこし大きくなった子供に刃物を持たせ、床に転がり「女だ!」と叫ぶ悪漢を指さし冷酷に言います。「やるんだ。生きるために、やるんだバディ」。だれも幸せにならない世界、塵芥のように扱われる命。生きる事が難しい世界で望むものをつかみ取ろうと足掻く一人の男のゲームです。