ファイト・クラブ / Fight Club

ファイト・クラブ / Fight Club

『ファイト・クラブ』とは、1999年に公開されたデヴィッド・フィンチャー監督の映画で、チャック・パラニュークの同名小説を原作としている。現代社会の消費主義やアイデンティティの喪失をテーマにした、サイコロジカル・スリラーである。名前の明かされない主人公が不眠に悩まされるところから物語は始まっている。主人公は医者の勧めにより、様々な自助グループに参加し、そこでマーラ・シンガーというひとりの女性に出会う。またある時に主人公は、飛行機の中でカリスマ的な石鹸の販売員タイラー・ダーデンと出会い、彼の影響でFIGHT CLUBを結成する。『ファイト・クラブ』は男性たちが地下で、殴り合いをする秘密の集まりで、次第に過激な行動をエスカレートさせていく。物語が進むにつれて、主人公はタイラー・ダーデンの正体と自分自身の真実に気付き、衝撃的な結末を迎える。タイラー・ダーデンのキャラクターは、主人公の分身であり、主人公の抑圧された欲望や反抗心を具現化した存在である。

kh19940824のレビュー・評価・感想

ファイト・クラブ / Fight Club
8

今の自分に自信を持て

初めてこの映画を見たのは、週末のテレビのロードショーでした。その当時は学生で、当時は学業の成績もよくなく、また部活に打ち込んでみても、思っている程のめり込めなく結果もでない、何か鬱々とした日々を送っていました。
映画に出てくるタイラー・ダーデン(ブラッドピット)は、スタイルもいい、体も鍛えてたくましい、ファッションセンスも抜群、頭も切れる、それでいて自由奔放と、正に今の自分にはない物を持っている、男としての理想像そのものでした。
ブラットピットの作品は、何作か鑑賞していますが、個人的にはこの作品の彼がとても気に入っています。
映画の主人公(エドワード・ノートン)も何か、現実に生きがいを見いだせなく、鬱々とした日々を送っており、正にその当時の自分と重なりました。そこに彼と真逆の性質を持つ、タイラーダーデンの登場です。瞬く間に主人公はタイラーに魅了され、彼の導くがままに、彼の所属する..というよりも、彼と主人公が作り上げた非合法の拳闘クラブで活動するようになります。
タイラーの思考や行動理念は非常にアグレッシブかつ合理的で、そこに主人公はグイグイ引き込まれます。私も同じくグイグイ引き込まれたのですが、実際にこのような人物が目の前にいたら、おそらくみな惹かれるのではないでしょうか?
映画のオチは、実はタイラーは主人公が自分の妄想で作り上げた架空の人物で、主人公が一人で突っ走る度胸がないので、頭の中で自分の理想像を作り上げ、妄想の友達にリードしてもらいながら、本当に自分がやりたかった欲求を実行してきた..と、ちょっとアブない妄想男というオチですが、映画の最後で自分の妄想と決別します。
そして自信を取り戻した所辺りで、終わってしまうのですが、この作品の言わんとしている事は、今の自分に自信を持て!という事ではないのでしょうか?
私も最初に映画を見た時は、タイラーのルックスや行動や言動ばかり、しばらく目がいってしまいましたが、何回も見直しているうちに、自分の心の中で理想化した自分ばかりに捕らわれて、人生を見失うのではなく、理想も凄く重要ですが、着実に一歩一歩進んでいくのが、人生かなと..この映画を見て感じました。