あり得ないんだけれども、そのあり得なさを好きになってしまうロードレースアニメ
主人公、小野田坂道(おのださかみち)、最高です。そして最強です。オタクチックで、とろくさそうな、メガネっ子の坂道君が、千葉県総北高校自転車競技部に入部し、競技未経験者であったにもかかわらず、インターハイの選手に選ばれ、苦難を乗り越え、乗り越えた末に自転車部を優勝へ導くという、爽快ロードレースアニメなわけなんですが、まあ、何というか、そんなんあり得へんやろーというシチュエーションが随所に散りばめられています。「キャプテン翼」的なそれではないんですけれども。
小野田坂道君の場合、そのあり得ないパワーが生み出される源というのが、自転車で走ることが好き、みんなが好き、みんなとずっと走っていたいという、とってもピュアな思いなんです。この思いに共鳴するように、メンバー一人一人が、己を捨て、思いをつないでいくことに必死になったとき、王者箱根学園を倒す勝機が訪れます。
主人公以外のキャラもきっちり描き込まれているので、金城さんいったい何歳なんだとか、福富さん達観しすぎだろとか、突っ込みながら見るのも楽しいです。基本、全員善人なので、アニメの中でまで、どろどろした人間関係に悩まされたくないという人にはおすすめ。ラスボスか妖怪かと思えた御堂筋君の、純粋すぎるエピソードには泣かされます。ロードレースの技術、駆け引きについては、真面目にリアルに描かれているので、勝負の行方そのものにドキドキハラハラできます。プラスアルファ、少年たちの純粋さに癒やされる、後味すっきりアニメです。