弱虫ペダル / 弱ペダ / Yowamushi Pedal

『弱虫ペダル』とは、2008年12号から『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で連載された、渡辺航による少年漫画である。本作品は自転車のロードレースを題材にしたスポーツ学園漫画である。コミックスは80巻を刊行し、累計発行部数は2022年10月時点で2,800万部を超えた。物語はヲタクの高校生小野田坂道(おのださかみち)がひょんなことから自転車競技部に入部し、部員たちと供に成長していく姿が描かれている。2015年に「第39回講談社漫画賞」の少年部門を受賞した。秋田書店の作品が同賞を受賞するのは『ブラックジャック』以来39年ぶりだった。2012年からは舞台が公演された。テレビアニメは2013年10月から2014年6月まで第1期、2014年10月から2015年3月まで第2期が放送された。さらに2週間限定の劇場版が制作され、2014年9月19日からと2015年6月12日から劇場公開された。実写映画は2020年8月14日に公開され、小野田坂道役を永瀬廉が演じた。この映画で永瀬廉は「第44回日本アカデミー賞」の新人俳優賞を受賞した。

blonderedheadのレビュー・評価・感想

弱虫ペダル / 弱ペダ / Yowamushi Pedal
8

あり得ないんだけれども、そのあり得なさを好きになってしまうロードレースアニメ

主人公、小野田坂道(おのださかみち)、最高です。そして最強です。オタクチックで、とろくさそうな、メガネっ子の坂道君が、千葉県総北高校自転車競技部に入部し、競技未経験者であったにもかかわらず、インターハイの選手に選ばれ、苦難を乗り越え、乗り越えた末に自転車部を優勝へ導くという、爽快ロードレースアニメなわけなんですが、まあ、何というか、そんなんあり得へんやろーというシチュエーションが随所に散りばめられています。「キャプテン翼」的なそれではないんですけれども。
小野田坂道君の場合、そのあり得ないパワーが生み出される源というのが、自転車で走ることが好き、みんなが好き、みんなとずっと走っていたいという、とってもピュアな思いなんです。この思いに共鳴するように、メンバー一人一人が、己を捨て、思いをつないでいくことに必死になったとき、王者箱根学園を倒す勝機が訪れます。
主人公以外のキャラもきっちり描き込まれているので、金城さんいったい何歳なんだとか、福富さん達観しすぎだろとか、突っ込みながら見るのも楽しいです。基本、全員善人なので、アニメの中でまで、どろどろした人間関係に悩まされたくないという人にはおすすめ。ラスボスか妖怪かと思えた御堂筋君の、純粋すぎるエピソードには泣かされます。ロードレースの技術、駆け引きについては、真面目にリアルに描かれているので、勝負の行方そのものにドキドキハラハラできます。プラスアルファ、少年たちの純粋さに癒やされる、後味すっきりアニメです。