天 天和通りの快男児

天 天和通りの快男児

『天 天和通りの快男児』(てん てんほーどおりのかいだんじ)とは、『賭博黙示録カイジ』などで有名な漫画家・福本伸行による麻雀を題材にした漫画。1989年から2002年にかけて竹書房の『近代麻雀ゴールド』にて連載されていた。単行本は全18巻。ゲーム、パチンコ・スロットなどのメディアミックス展開をしており、2018年には岸谷五朗主演の実写ドラマが放送された。

Chi_のレビュー・評価・感想

天 天和通りの快男児
10

麻雀を知りたい人にも、人間の心理学に興味がある人にもおすすめな漫画です。

漫画「天 天和通りの快男児」は麻雀を題材としている漫画です。
麻雀といえば運によって左右されることが大きいのですが、この作品ではそういった運による勝負展開ではなく、ひたすら理詰めで解説をしていきます。例えばテンパイになった時にはそのテンパイの受け方が何通りあるのか、あるいは切る牌が何通りあるのか、などを実に丁寧に解説されています。
また相手の捨て牌や、テンパイの形の読み方にしても理詰めで考えていき、時には直接相手の手牌や捨て牌をよむのではなくて、他の人がどのような捨て牌をしているのか、から読んだりもしています。
それから、この漫画では麻雀という勝負時における人間心理の描写も実に濃密なまでに行われています。漫画の主人公は一応はタイトルにある天貴史という男なのですが、もう1人の主人公として井川ひろゆきという青年もいます。麻雀の勝負時における手牌の描写は、天よりもむしろひろゆきの手牌の方が多いくらいです。
この漫画は大別すると3つのパートに分かれています。第1部は天とひろゆきの出会いとその2人の勝負、第2部は天やひろゆきが東の代打ちとして西の代打ちと戦う東西戦、そして第3部では麻雀漫画なのに全く麻雀の描写がないという驚きの展開があります。第3部は天やひろゆきとともに東の代打ちとして活躍した赤木しげるの生前葬の話になっています。安楽死の問題にもふれていたりと生きるとは何かということを考えさせられる展開です。こういった内容ですので麻雀に興味がある人はもちろん、麻雀は知らなくても心理学に興味がある人や生きるとは何かという哲学的なことに興味がある人にもおすすめの漫画です。