誰も知らない

誰も知らない

『誰も知らない(英語:Nobody Knows)』とは、2004年公開の是枝裕和監督による映画である。キャッチコピーは「生きているのは、おとなだけですか。」。1988年に巣鴨で起きた置き去り事件を元に、育児放棄され過酷な環境下で幼い妹弟の面倒を見る長男・明の物語。当時15歳だった柳楽優弥のデビュー作で、柳楽は史上最年少かつ日本人として初となるカンヌ国際映画祭最優秀主演男優賞を受賞して話題となった。

5yanr5nico5のレビュー・評価・感想

誰も知らない
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音楽もほとんどない淡々とした描写

うすら風邪をひき、のどの痛みが取れないので、年末に撮り溜めていた映画を観る。

この映画が制作された2003年は、平日は毎日午前さま、休日は子どもと公園めぐりで、公私とも、最も充実していた時期だったと思う。

だから、本作品が海外で高い評価を受けただとか、主人公が中学生の柳楽優弥だとか、事前情報なしに観た。監督が是枝裕和なのでくらいの、軽い気持ちだった。

音楽もほとんどない淡々とした描写に、どんどん引き込まれる。優しくて、駄目な母親役のYOUの演技もいい。

ラストの羽田空港モノレールの描写は、エヴァの綾波とシンジの電車シーンを想起する美しさだった。

アベノミクス以前の「失われた〇十年」は、歴史的には貧困の時代と称されるのだろう。

現在までの時期を連続して生きる私たちは、心情的にこれを受け入れられない。「日本は裕福な国」というイメージを、私たちの時代に否定されたくないのだ。

しかし、非正規雇用、格差拡大の例を持ち出すまでもなく、貧困の問題は目に見えるところにあった。

息子の通う小学校にも、貧困の問題を抱えているのかなと感じる子はいた。だからといって、自ら動くこともなかったし、たぶんこれからも同じだと思う。

だから景気が少しはマシなこの時期に、できるだけ多くの人が、自ら救われて欲しいと願う。

災害の時とかは別として、困難を克服する過程の幸せの度合は、「他人に救われる相互に助け合う自ら救われる」だと思うから。

傲慢な考えかな。