共喰い

共喰い

『共喰い』とは、2013年に公開された映画。田中慎弥による短編小説『共喰い』を原作として、人間の奥底に潜む闇を映画オリジナルのエンディングと共に描く。監督は青山真治、主演は菅田将暉が務めた。
昭和63年の夏、高校生の遠馬は父とその愛人の3人で暮らしていた。暴力的な性癖を持つ父の姿を見て育った遠馬は父のようになることを恐れていたが、恋人と過ごす中で自分にも同じ血が流れていることを自覚するのだった。

tomandlaverのレビュー・評価・感想

共喰い
10

新たな生活を自力で、時には力を合わせて切り開いていく

平成の時代に昭和臭を醸し出すことそれ自体も難しいのに、映像、ロケーションもとてもよかったです。
どうしても抑えられない衝動、そしてそれに否応なく周囲が巻き込まれてゆく。それが家族だけでなく、周りの大切な人達にまで及んでゆくどうしようもなさ。
そんな中でも登場人物たちはたくましく、しなやかな強さでもって、新たな生活を自力で、時には力を合わせて切り開いていく。
よくわからない山口弁と相まって、ラストはちょっと微笑ましい結末まで用意される、心地よいくらいのカオスっぷり。素晴らしかったです。
地方都市の夏祭りを舞台とする作品では、今年公開の「羊の木」よりもこちらの方がよほどおもしろい。
五年も前の作品ながら、菅田将暉の将来性が垣間見ることができます。
非常に面白かったです。helplessもそうでしたが、青山監督は画が本当に格好良いですね。服はヨレて髪も伸びてる日常の洗練部分だけを抽出するのが流石です。
性描写はそこまで無かったような…。物語も簡潔で分かりやすいし、説明不足もありません。
過激というのは物語に関係なく乳房を出す事だと思いますが、この映画の濡れ場はどれも必要で、客寄せで映してる訳ではなく我々の日常に密着した濡れ場だと思いました。